受賞作品 受賞式レポート
第9回おおきなアートのちいさな物語コンクール




 
表彰式会場

梅が美しく咲いた2013年3月9日(土)、課題作・小川芋銭《水村童子》の所蔵先でもある茨城県近代美術館にて、第9回おおきなアートのちいさな物語コンクールの表彰式が行われ、受賞者とご家族約50名の方々が出席されました。

現在フランスのボルドーで活動しており残念ながら出席できなかった代表コリーヌ・ブレの代役として、当法人理事の小林幸利からご挨拶をさせていただきました。
「このコンクールに参加して下さった皆さんは<なかま>であり、そしてコンクールを応援してくださったフランス大使館や課題作の提供に快く応じて下さった方々も<なかま>です」と述べ、感謝の意をお伝えしました。
審査員の先生からの総評とコリーヌからのコメントも、代読の形で皆さんにお伝えしました。

授与式終了後、茨城県近代美術館で行われているワークショップ「やあ!ミュージアムキッズ」に参加させていただきました。
画像の提供にご協力いただいた方々、また茨城県近代美術館様に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。

 
表彰式でご挨拶をする理事小林氏 総評を読む松田さん
▲表彰式でコリーヌに代わり、ご挨拶をする理事小林さん ▲審査員の皆様からの総評を発表する当法人理事で彫刻家でもある松田光司さん
ワークショップの説明を聞く皆さん ワークショップの様子   
▲ワークショップの説明を聞く皆さん。これから展示室に入って鉛筆で模写をします。 ▲模写に彩色をして、色紙やリボンなどで思い思いの額縁を作りました。
茨城県近代美術館の「やあ!ミュージアムキッズ」の今後の予定はこちら
審査員からのコメント

銅版画家 山本容子氏のコメント

 今年のテーマは「なかま」ということでした。  人間、動物、昆虫、魚類と描かれたモチーフの違い、また時代や国も様々に描かれた作品7点は、一見すると子供達の関心を買わないような渋い色調の静かな作品でしたが、今回も絵との素晴らしい対話が物語となって手元に届きました。
 高学年の部 近藤潤さんの「故郷」は、小川芋銭作《水村童子》という掛け軸のような縦書きの画面の中央には、村の間をぬける川が流れています。下部に木の橋が掛かり子供達が釣りをして遊んでいるようです。水鳥も泳ぐ牧歌的な絵です。  近藤さんの文章の書きだしは、「私は、この村を流れる川にかけられた橋です」と。私はこの書き出しがとても気に入りました。なぜなら絵のタイトルは《水村童子》。モチーフの村の子供の方に気をとられるのが自然です。近藤さんももちろん子供達の遊ぶ姿について文章の中で触れているのですが、このモチーフをあたたかい気持ちで見守っている橋の視点で物語をつくったところに、風景全体から発せられる「なかま」という大きな気としての存在を表現できたと思いました。  無駄のない簡素な文章が橋を擬人化したストーリーと合っていると思いました。
 低学年の部小澤克朗さんの作品は、棟方志功作《流離抄・弧狼の柵》という赤と黒の二色刷の木版画からの発想です。木の枝を棟方志功が木彫ナイフでザッザと彫り進めている姿が見えるような親近感あふれる作品です。文字も彫られていますが、中央にはタイトルにあるように狼の上に乗るキツネが夕暮れ、狩場明神の現れる山深き場所に居る絵のようです。この版画を見た小沢さんは、書き出しに<「ウソだろ。」とおれは思った。>と。キツネ自身が人間の言葉をしゃべる自分に驚くところからはじまります。棟方志功の彫ったキツネと同じ分量で彫られた文章の同居する画面を見て、一瞬の新鮮な言葉が生まれたのだと確信できます。その後、物語は人間の言葉を話すキツネが仲間はずれにされて、オオカミの友情によって助けられ、最後は狩場明神のほこらに伝わる伝説を使い、人間、そしてキツネの仲間たちにも信頼されるという大きな話になっています。絵を見た時の第一印象に加えた物語としての発想の豊かさに驚きました。
 小池珠恵さん、絵から牧歌的な雰囲気を感じとっての会話が素敵です。やさしい少女像が見えました。
 左光凛星さん、クレーの抽象性の高い画面をよく見て文章にしましたね。怪物と鳥はお互いの世界を知りません。でも怪物は魚という鳥の好物を発見することによって、小さな鳥と仲良くすることが出来ました。そして、鳥も怪物が助けをして仲間になるのですね。絵から発見をするところが良かった。
 長谷川雄飛さん、ドラマチックで良いですね。中国のお話をよく読んでいるのですね。
 マリ・ドゥーロールさん、「時の緑にある川」という表現が最高に良い。橋の端にある小さな花を見つけた眼は、時間の流れを表現するような川の流れに思索の輪を拡げてゆく。完璧な詩だと思いました。
 北條倫久さん、狩場明神の神々しさがよく表現できています。
 神林和足さん、人間が働く姿を見せるところがカッコイイです。
 冨田孟志さん、絵本にすると良いですね。変身するところが素敵です。
 山鹿結衣さん、かぶと虫の戦いを見続けることで、負けるくやしさを知りましたね。見ている時間が表現できています。

作家 高橋源一郎氏のコメント

得点上位の作品はどれもほんとうに素晴らしかったです。 高学年では、小池さんの作品に出てくる子どもたちの会話がほんとうに活き活きして、真に迫っていました。 宮ノ内さんの「プリシィー」も可愛くて大好きです。 低学年の部では、神林さんの作品にびっくりしました。終わり方がカッコいい!! 北條さんもすごく良くて、どちらがいいかほんとうに悩みました。

代表 コリーヌ・ブレのコメント

今回、私が今いる南仏の街の小学5年生クラスの子どもたちが全員、このコンクールに参加して、みなさんと同じ絵を見て俳句を書きました。
フランスでは最近、日本の俳句が人気で、5/7/5のリズムをフランス語で書くのです。俳句のリズムをフランス語で表現するということは、いままで夢にも想像しませんでした。それが実現しました!!
 日本のことを子どもたちにお話しするように頼まれて、先日そのクラスの先生に呼ばれました。子どもたちに大好きな日本のいろんなことを話していたとき、突然、日本ふうの表彰式をやってみようと思いついたのです。なぜならフランスではそういうふうにしないのですから。
 私が立っているデスクまで一人一人の子に来てもらって、その子が書いた詩を私がフランス語と日本語訳の両方読んで、その詩が書いてある一枚の紙を、"おめでとうございます"と日本語で言いながら、また少しお辞儀をしながら、表彰状みたいに両手で渡しました。みんな驚きました。お辞儀をしたことも、された経験はないからです。この5年生のクラス全員はその日、ほんの少し日本に旅をしたに違いありません。
 皆さんの作品を読んで感激しました。フランスの子も日本の子も同じようにレベルが高いです。
 今日、私は受賞者一人一人にFELICITATION フェリシタション(おめでとう)を心から言いたいです。みなさん、表彰状を受け取るときにフランスにいる私からも受け取っていることを想像してみてね。  気持ちが少しでもフランスまで旅できますように FELICITATION フェリシタション!!!


子供ヴィジョンでは、コンクールを通してアートに触れる機会をふやす活動を今後も行います。
ぜひ皆さんもご参加ください。たくさんの作品をお待ちしています ! ! 
INDEXに戻る

icon_top